「ドナルド・トランプ米大統領は選挙集会で、ノルウェーを『shitholeのような国だ』と罵倒し、ノーベル平和賞に選ばれなかったことを理由に、ノルウェーからの移民は歓迎しないと述べた。」旨の報道が、本日一斉に配信されました。
Ⅰ shitholeの訳語は?
この「shithole」という単語について、時事通信など日本の報道機関では「屋外便所」や「外便所」などの訳語が使われています。
正直、今日この訳を見たときに「ずいぶん婉曲で上品な訳語を使うものだな」と強い違和感を覚えました。
「shithole」という単語のニュアンスや直訳に近い語感でいえば、「糞ツボ」「肥溜め」「糞溜め」といった表現のほうが、元のスラングが持つ汚悪さや激しい侮蔑のトーンをはるかに的確に表しているのではないかと思ったからです。
「屋外便所」という訳語は2018年からの踏襲だった
気になってAI先生に聞いてみたところ、この「shithole」という単語が波紋を呼んだのは、実は今回が初めてではありませんでした。
既に2018年の移民政策をめぐる非公開会談の場でも、トランプ氏はアフリカ諸国などを指して同じく「shithole countries」という表現を使っていました。当時も日本のマスコミ各社は、ニュース番組や紙面でそのまま使うにはあまりに下品すぎる言葉をどう訳すべきか頭を悩ませたそうです。
その結果、「糞(クソ)」という直接的な排泄物表現を避けつつ、水洗化されていない昔の粗末な便所を連想させる折衷案として生み出されたのが「屋外便所」という訳語でした。今回の報道でも、当時の経緯や自主規制の基準を踏襲する形で、この「屋外便所」という訳がそのまま使われていたというわけです。
世界最強国のトップとしての品格や資質に欠ける
日本のメディアがニュアンス通りに訳すのを躊躇し、わざわざソフトな言葉に言い換えなければならないほど下品で汚い言葉を使って他国を罵倒する・・・・。
しかも、自分がノーベル平和賞をもらえなかった腹いせで他国を貶め、移民の制限を匂わせるような発言まで行う姿勢には、開いた口が塞がりません。
この点だけでも、経済的にも軍事的にも世界最強の国である米国を率いる大統領としての品格にも資質にも決定的に欠けていると言わざるを得ないのではないでしょうか。
Ⅱ ノーベル賞の話なのになぜノルウェー?
本件について、もう一点。
「あれっ? ノーベル賞ってスウェーデンじゃなかったっけ…?」
トランプ大統領は言いがかりをつける国を間違えているのでは? と一瞬疑ってしまったのですが、気になってAI先生に聞いてみたところ、私の知識不足だったことが判明しました!
結論から言うと、「平和賞」のみがノルウェーで選考・授与され、「それ以外のすべての賞」はスウェーデンで選考・授与されます。
役割の具体的な違い
| 項目 | スウェーデン | ノルウェー |
| 対象となる賞 | 物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、(経済学賞) | 平和賞 |
| 授賞式会場 | ストックホルム(コンサートホール) | オスロ(市庁舎) |
| 選考機関 | スウェーデン王立科学アカデミー、カロリンスカ研究所 など | ノルウェー・ノーベル委員会(議会選出) |
| 賞の授与者 | スウェーデン国王 | ノルウェー・ノーベル委員会委員長(国王夫妻同席) |
授賞式は、創設者アルフレッド・ノーベルの命日である毎年12月10日に、ストックホルムとオスロの2会場で同日に開催されます。
なぜ平和賞だけノルウェーなのか?(歴史的背景)
創設者であるアルフレッド・ノーベル(スウェーデン出身)が1895年に作成した遺言書の中で、「平和賞はノルウェー議会が選出する5人の委員会によって授与されること」と明記したことが理由です。この決定には、当時の政治的・歴史的背景が深く関わっています。
1.同君連合(同居関係)時代の政治的配慮
ノーベルが遺言を書いた当時(1895年)、スウェーデンとノルウェーは「スウェーデン=ノルウェー連合王国」として1人の国王をいただく同君連合体制にありました。しかしノルウェー側では独立運動が高まっており、両国間には政治的緊張が走っていました。ノーベルは両国の良好な関係や和解を強く願っており、賞の一部をノルウェーに委ねることで配慮を示したとされています。
2.ノルウェーの平和外交への評価
当時のノルウェー議会は、国際紛争の平和的解決や仲裁に積極的であり、平和外交の理念に力を入れていました。ノーベルはノルウェーのそうした政治姿勢を高く評価し、平和賞の選考に最もふさわしい場所だと考えたという説が有力です。
独立後も継続された仕組み
1905年、ノルウェーはスウェーデンから平和的に独立を果たしました。連合関係が解消された後も、ノーベルの遺言を尊重する形でこの役割分担はそのまま引き継がれ、今日に至るまで続いています。
このように、ノーベル賞は北欧2カ国の共同事業のような歴史的背景を持ち、国際的平和と協力の象徴としての側面も保ち続けています。


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