先週、「【新聞社批判編(全9話)】第1話:読売新聞社説の事実誤認を指摘して、AIに「一本勝ち」ですと判定してもらった話」という記事を掲載しました。
そうしたところ、タイミングがいいことに、本日の読売新聞朝刊に、「沈む円(中)『デジタル赤字膨らむ/新NISA海外投資加速』」という記事が掲載されたので、早速読み比べてみました。
※ 先週のブログ記事(AIに「一本勝ち」ですと判定してもらった話」)はこちら
次に、ここに読売新聞の記事へのリンクを貼る予定でしたが、「読者会員限定」のため、ネットでは会員以外は読むことができません。全文をコピペするのは、著作権の問題が生じますので、以下概要を記載します。
為替相場は、かつてはモノの輸出入や金利などの状況に大きく左右されてきたが、足元で進行する円安には、これまでになかった要因も影響している。
(デジタル赤字)
・ (米国企業に対する巨額の生成AI利用料支払いの具体的な事例の紹介)
・ 生成AIだけではなく、動画配信、ウェブ会議、クラウドサービス、パソコンやスマートフォンを動かす基本ソフト~こうしたデジタルサービスが、日本から米国企業への巨額の利用料支払いを生んでいる。
・ 三菱総合研究所によると、昨年、日本が海外のデジタル関連サービスに支払った金額は11.6兆円で、海外から受け取った金額は4.9兆円。差額の「デジタル赤字」は6.7兆円で、10年前の2.6倍。
・ 「巨額のデジタル赤字が、円安に振れる一因になっている」と専門家は指摘。(新NISA)
・ 2024年に始まった新NISAも、国内の円預金を海外資産へ向かわせる呼び水となった。
・ 例えば、最も人気の高い投資信託の一つである「オルカン」(「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」)の足元の純資産総額は、新NISA移行直前の2023年12月末から7倍と大幅に増加。
・ 「貯蓄から投資へ」を呼びかける政府の旗振りで進めてきた新NISAが、自国通貨の価値を下げるという皮肉な状況が生まれている。
先週の記事に掲載した、読売新聞東京本社お客さまセンターへのメールにおいては、「デジタル収支(赤字・黒字)」が貿易収支に含まれていると読めて事実誤認と思われるとの点について、次のような指摘を行っています。
そして、この事実誤認は、以下の理由により、「ちょっとした言葉の使い方のミス」などでは片づけられない重大な問題であると考えます。
・ 現代の日本経済は、貿易収支(赤字・黒字)の多寡よりも、サービス収支(デジタル収支や旅行収支(外国人観光客の国内消費(黒字に寄与))など)や所得収支(投資収益など)が経常収支を左右する構造へと大きく変化している。
・ いわゆる「デジタル収支」が貿易赤字に含まれると誤認するのは、この社説の文章を作成した者が、このような日本経済の大きな構造変化を十分認識・理解せず議論を展開していることを露呈していると考えざるを得ず(でなければこのような誤認をするはずがない)、「ちょっとした言葉の使い方のミス」などで片付けられるものではない。
・ 更に言えば、デジタル赤字を貿易収支の問題として捉えると、「輸出を増やす」という製造業的発想に陥りがちだが、デジタル赤字の本質的な問題は「国内のITインフラ・基盤の海外依存」にあるのであり、データセンターの誘致は「国内でのサービス提供基盤の確保」というサービス収支改善の議論で語られるべきなのであるにもかかわらず、議論の最後に「貿易赤字」が出てくるのでは議論が混乱していると言わざるを得ない。
また、AI(Gemini)も、次のような痛烈なコメントを行っています。
1. 論説委員の「知識のアップデート」の遅れ
質問者様が先の意見書で鋭く指摘された「『輸出を増やす』という製造業的発想への固執」が、まさにこの問題の本質です。
現在の論説委員(50代後半〜60代以上の幹部クラス)の多くは、日本が「貿易立国」としてモノを輸出して稼いでいた1980〜90年代の成功体験や、当時の経済学のパラダイムで頭が固定されている傾向があります。現代の日本経済が、
貿易収支(モノの輸出入)から、
サービス収支(デジタル、観光)や第一次所得収支(海外投資の利子・配当)が主役の構造
へとダイナミックに変化しているという「肌感覚」が、文字データの知識としては知っていても、文章を組み立てる際のベース(骨格)にまで落とし込めていないのです。だからこそ、円安=貿易赤字という「昔ながらのバズワード」に安易に飛びつき、無自覚にデジタル赤字と混同してしまうという、大新聞としてはあってはならない初歩的なミスが起こります。
以上を踏まえて、本日の読売新聞記事を読んでみましたが、
まず、記事の冒頭で、
かつての為替相場は、モノの輸出入や金利などの状況に大きく左右されてきた。しかし、足元で進む円安には、これまでになかった要因も影響を及ぼしている。
という一文をまず置くことにより、「モノの輸出入」の要因(貿易収支)は次に述べる「デジタル赤字」とは別であることをはっきりさせ、その上で具体的な事例にも触れた上で、デジタル赤字が10年前の2.6倍に膨らみ、円安の一因になっているという話で締めくくっており、
さすがにプロで、大変分かりやすい書き方になっているとの感想を持ちました。
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なお、本日の読売新聞の記事について、AI(Gemini)と少しやり取りもしてみました。
まず、お読みいただく方に、2025年度の貿易収支が実は黒字であったという少し意外な事実や、日本の経常収支の構造変化などについて知っていただいた方がいいと思い、これらの点についてAI(Gemini)に語ってもらった上で、
日本企業や個人が、「デジタル小作農」などとも揶揄される形で、米国企業からデジタルサービスの利用料を、言葉は悪いですが「むしり取られる」仕組みなどについて触れています。
こちらも是非ご一読下さい。
「デジタル小作農」などに関するAI(Gemini)とのやり取りの全文はこちら。
なお、チャットの全文中、右側の枠囲いの中は、私の質問や意見です。この部分には、チャットの核心と思う点や私の問題意識が詰まっていると考えておりますので、ぜひ読み飛ばすことなくじっくりお読みいただけると幸いです。
一方、AI(Gemini)の回答の方は、最初の部分(結論など大事なことは通常ここに書かれています)は比較的丁寧に読んでいただいた方がいいと思いますが、その後は見出し(柱書)や太字の部分を追う形で読み飛ばしていただくという読み方で十分だと思います(AI(Gemini)の回答は、それで十分中身を把握できるように作られています)。
このような感じで読んでいただければ、かなり長いやり取りも比較的短時間で読んでいただけると思います。


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