【新聞社批判編(全9話)】第1話:読売新聞社説の事実誤認を指摘して、AIに「一本勝ち」ですと判定してもらった話

【新聞社批判編 第1話】読売新聞社説の事実誤認を指摘したらAIに一本勝ちと判定された話。左側には『デジタル赤字が貿易赤字に含まれると誤認』『サービス収支と貿易収支は別』と書かれた読売新聞のイラスト、右側には正しい経済構造を解説し『一本勝ち!』と判定するAIロボットが描かれたブログアイキャッチ画像 未分類

このブログの記念すべき第1回の記事として、私がこのブログを始めるきっかけとなった「ある出来事」について紹介します。本記事は、本ブログの最初の連載となる「新聞社批判編」(全9話、番外編2話)の第1話となります。

事の始まりは、本年3月27日の読売新聞朝刊に掲載された、1本の社説(「データセンター 地方活性化と合わせた整備に」)でした。

  読売新聞社説(「データセンター 地方活性化と合わせた整備に」)の全文はこちら

デジタル社会に不可欠なデータセンター(DC)を地方に分散させ、地域の活性化にもつなげるべきだといった趣旨の社説ですが、私が気になったのは、この社説の次の一節でした。

「近年、日本では、DC(データセンター)が充実している米ITのサービスに支払う金額が、受け取り額を上回る「デジタル赤字」の問題が指摘され、昨年は6・7兆円に上った。貿易赤字に伴うドル支払いが増え、円安の一因にもなっている。」

このくだりをごく普通に読めば、「いわゆる『デジタル赤字』が増えたから貿易赤字が増えている」、すなわち、「『デジタル赤字』は貿易収支に含まれる」ということになってしまいますよね。

……ですが、これは明確な間違いです。
いわゆる「デジタル収支(赤字・黒字)」は、サービス収支に含まれるものであって、貿易収支には含まれません。

大手新聞社の「顔」と言うべき社説でこのような基礎的な事実誤認があっていいはずがないと思った私は、読売新聞のお客さまセンターに次のような意見を送ってみました。

2026年3月27日(金)付けの貴社社説(「データセンター 地方活性化と合わせた整備に」)の論理展開において、基礎的な事実誤認があるのではないかと思われるため、意見を提出させていただきます。

この社説の最後の1つ前の段落においては、いわゆる「デジタル赤字」が貿易収支に含まれると事実誤認した上で、デジタル赤字の増大が貿易赤字の増大要因となっており、これが円安の一因となっているとの論理展開になっています(そう理解しないと文章がつながらない)。

しかしながら、いわゆる「デジタル収支(赤字・黒字)」は、サービス収支に含まれ、貿易収支には含まれません。

そして、この事実誤認は、以下の理由により、「ちょっとした言葉の使い方のミス」などでは片づけられない重大な問題であると考えます。

・ 現代の日本経済は、貿易収支(赤字・黒字)の多寡よりも、サービス収支(デジタル収支や旅行収支(外国人観光客の国内消費(黒字に寄与))など)や所得収支(投資収益など)が経常収支を左右する構造へと大きく変化している。

・ いわゆる「デジタル収支」が貿易赤字に含まれると誤認するのは、この社説の文章を作成した者が、このような日本経済の大きな構造変化を十分認識・理解せず議論を展開していることを露呈していると考えざるを得ず(でなければこのような誤認をするはずがない)、「ちょっとした言葉の使い方のミス」などで片付けられるものではない。

・ 更に言えば、デジタル赤字を貿易収支の問題として捉えると、「輸出を増やす」という製造業的発想に陥りがちだが、デジタル赤字の本質的な問題は「国内のITインフラ・基盤の海外依存」にあるのであり、データセンターの誘致は「国内でのサービス提供基盤の確保」というサービス収支改善の議論で語られるべきなのであるにもかかわらず、議論の最後に「貿易赤字」が出てくるのでは議論が混乱していると言わざるを得ない。

なお、なぜこのような基礎的な統計上の誤認が、論説委員会のチェックをすり抜けて掲載されてしまったのかについても大変疑問に思っています。

以上の通りでありますので、速やかな訂正記事の掲載など、適切な対応を取っていただくことを希望します。

もっとも、このような意見を個人の一読者が送ったところで、まあ普通は「黙殺されて終わり」だろうなと思っていました。ところが、驚いたことに、その日のうちに読売新聞から次のような回答が返ってきたのです。(この対応については、とても誠実な対応だなと評価しています。)

読売新聞東京本社お客さまセンターです。
メールを拝読いたしました。ご購読いただきありがとうございます。
ご指摘について、担当部署からの回答を以下、お伝えします。

このたびは、ご指摘いただきまして、ありがとうございます。

社説の該当箇所「近年、日本では、DCが充実している米ITのサービスに支払う金額が、受け取り額を上回る『デジタル赤字』の問題が指摘され、昨年は6・7兆円に上った。貿易赤字に伴うドル支払いが増え、円安の一因にもなっている。」について、貿易収支とサービス収支(いわゆるデジタル収支を含む)が別項目である、というのは、おっしゃるとおりです。

近年、貿易赤字、デジタル赤字とも、円安要因として、社会的に言及されることが増えましたので、読者がイメージしやすいように、並列する形で構成しました。

貿易赤字にデジタル赤字が含まれるように読める、というご意見は、今後、十分に注意して紙面づくりに生かしていきたいと思っております。

以上となります。ご理解いただけますと幸いです。

論説委員会の厳密なチェックを受け(ているという位置付けで)、新聞社の「顔」と言うべき社説について新聞社が素直に誤りを認めるはずもなく、「ご意見は、今後、十分に注意して紙面づくりに生かしていきたいと思っております」とまで言わせただけでもなかなかのものではないかとは思いつつも、
並列だと強弁するのであれば、少なくとも「デジタル赤字が貿易赤字と相まって」など両者が並列であることが分かるように書く必要があるだろうというような思いもあって、もやもやした気分が残った状態でした。

そこで、このもやもやした気分をAI(Gemini)にぶつけてみたところ、AIが「ブチ切れて」くれて、実に胸のすくような回答が返ってきました。それが次の回答となります。

  ※ 読売新聞の「強弁」に対するAIの「ブチ切れた」回答

これによれば、完全に私の方に分があり、柔道の用語を用いたのでしょうが、「有効」や「技あり」どころではなく、「一本勝ち」レベルでの勝ちだとの判定だとするのみならず、このようなことが起きた背景にあるであろう新聞社内の事情についてまで分析してくれました。

この一件をきっかけに、私は、経済・社会やAIの進化といった真面目なテーマから、映画、読書、エンタメなどに至るまで、さまざまな話題についてAI(Gemini)とディープに語りあうようになりました。

そして、「このAIとのリアルな対話のログを、ライブ感覚でそのまま公開したら、結構面白いコンテンツになるのではないか?

そう思い立ったのが、このブログを開設したきっかけです。

次回以降、最新のトピックを間に挟みつつ、「新聞社批判編」(全9話、番外編2話)を順次公開していきます。ご期待下さい。

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